風が強く吹いているというタイトルに異議あり

タイトルというものが中身を象徴的にあらわすものだとすれば、たとえ箱根駅伝の話だとわかった上でも「風が強く吹いている」というは、何のことかよくわからない、つまりイマイチなタイトルだなアと思ってたワケです、読むまでは・・・



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「きみたちは十二分に練習を積んでいる。あとはプレッシャーをやすりに換えて、心身を研磨すればいいだけだ。予選会でうつくしい刃になって走る自分をイメージして、薄く鋭く研ぎ澄ませ」
P.279


ん~コレはたしかに詞的な表現です

ちょっと説明がいりますネ


高校時代に長距離をやっていたのが2人いるが
あとはほ未経験者ばかりの寄せ集めが箱根駅伝を目指す
メンバーはきっちり10人
つまり一人も脱落できない

無茶な話しです

はじめはいい加減だったメンバーも
ハードな練習をこなすうちに
走ることに目覚めてゆく
そして予選会出場資格を全員がクリアー

秋の予選会を前にして
プレッシャーにつぶされそうになっているメンバーに
リーダー清瀬が言ったのが上の言葉でした


刃(やいば)になって走る自分をイメージして、薄く鋭く研ぎ澄ませ

いいなあ~
(ライブ前のプレッシャーを想像してないかい)


もうひとつ

夜空を切り裂く、流星のようだ。きみの走りは、冷たい銀色の流れだ。
ああ、輝いている。きみの走った軌跡が、白く発行するさまが見える。
P.611


ん~詞的な表現です

走る競技というのは
タイムという明確なものさしがある
しかしそれだけじゃない
じゃ何なんだというのが
この作品のテーマの一つなんですが

勝負どころの9区で凄い走りを見せるエースの走を
(名前が走「かける」なのでややこしい)
清瀬は美しいと思った
それをこんなふうに表現したのです

素晴らしいではありませんか

時間だけが目標であり結果であるような競技で
もとめあがいても容易に手に入れることのできない究極の走り
とでもいうのでしょうか



こうなると忘れていけないのが
イマイチなタイトルのことです

「風が強く吹いている」

これは山下りの6区を走ったユキが
区間賞にせまる快走をしているさなかに思ったことなのでした

山下りは平地よりも断然速いスピードで走る
初めて山下りを走ったユキはこのスピードが
ふだん走が体感している世界だと気がついた
(名前が走「かける」なのでややこしい)

走、おまえはずいぶん、さびしい場所にいるんだね。風の音がうるさいほどに耳元でなり、あらゆる景色が一瞬で過ぎ去ってゆく。もう二度と走りやめたくないと思うほど心地いいけれど、たった一人で味わうしかない世界に。
P.529



イマイチなタイトルは
実はめちゃめちゃカッコよかったワケです

この記事へのコメント

H
2012年06月03日 08:32
結局、かっこよかったのね

三浦しおんさん
本年度本屋大賞を
「船を編む」受賞されました
辞書を編纂する人の話です
いつか読みます。
2012年06月03日 08:55
「プレッシャーをやすりに換えて」、、、私ならやすりをかけ過ぎて無くなってしまうかも、、、。
小心者の私です。
石五郎
2012年06月03日 15:28
Hさん、箱根駅伝が始まったら
最後まで止められませんでした。
毎年欠かさず見ているので
権太坂とか函嶺洞門とか
TVを見るように読んでしまいました。

「船を編む」とは
これまた中身が想像できない
タイトルですね~
石五郎
2012年06月03日 15:35
ヤスさん、ボクなら
プレッシャーを酒に換えて、、、
だからいつまでたっても
ラチが開かないです。

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